投資用ワンルームマンションの営業手口を全公開【元同僚の紹介・ファミレス即決・カモリスト化】

投資用ワンルームマンションの営業手口を全公開【元同僚の紹介・ファミレス即決・カモリスト化】
目次

「元同僚もやってるなら、大丈夫だろう」

20代後半の私が、投資用ワンルームマンションを買う決め手にしたのは、この考えでした。結果から言うと、3戸買って、トータル約300万円の赤字で撤退しています。

買った経緯と売却までの記録は別記事に詳しく書きました。この記事で書くのは、その手前の話、「どうやって売り込まれたのか」です。

当時はまったく気づきませんでしたが、振り返ると、不動産の営業にはよくできた型がありました。一つひとつ分解すると、「ああ、自分はこの順番で落とされたのか」とはっきり見えてきます。

同じ手口で迷っている人が、立ち止まるきっかけになればと思って、当事者として正直に書きます。


前提:私は実際に3戸買って300万円損切りした

最初に立場を明確にしておきます。私は不動産投資を批判する評論家ではありません。実際に名古屋市内のワンルームを3戸買い、保有し、最終的に3戸とも売却して約300万円の赤字を出した当事者です。

買った後どうなったか、損益の内訳、なぜ売ったかは、こちらの記事に全部書いています。

この記事は、その前日譚です。「買った後」ではなく「買わされるまで」に何が起きていたかを、手口ごとに振り返ります。


手口①:知人・同僚からの紹介で警戒心を外す

最初の接点は、元同僚からの紹介でした。

「いい話があるから、会ってみない?」と言われ、紹介された営業マンとファミレスで会う。これが始まりです。

このとき私の頭にあったのは、「元同僚もやっているなら安全だろう」という安心感でした。見ず知らずの営業マンが飛び込みで来たなら警戒したはずなのに、間に知っている人が一人入るだけで、警戒心がごっそり外れてしまったのです。

紹介の裏にあった「紹介料」

当時は知りませんでしたが、後になって、紹介した人には紹介料が入る仕組みだと分かりました。

知った経緯は強烈です。その営業マンが独立して会社を立ち上げた後、私に「誰か紹介してほしい、紹介料は100万円出す」と持ちかけてきたのです。つまり、私を紹介した元同僚も、何らかの形でメリットを得ていた可能性が高い。

紹介してくれた人は善意のつもりだったかもしれません。でも、紹介の連鎖そのものに金銭的なインセンティブが組み込まれている——これが第1の手口です。「知り合いが勧めるなら」という信頼が、そのまま商品の信頼にすり替えられてしまう。

ちなみに私は、誰も紹介していません。


手口②:「私も買っています」——ただし営業マンが持つのはファミリー物件

営業マンは、こうも言いました。「私も買っているんですよ」。

自分も同じ商品を持っている。そう言われると、「売り逃げではない」「リスクを一緒に背負っている」と感じて、一気に信頼してしまいます。これも警戒心を外す強力な一言でした。

ところが後で分かったのは、彼が買っていたのはワンルームではなく、ファミリー向けの物件だったということです。

当時の私は、ワンルームとファミリー物件で資産価値の落ち方がまるで違うことを知りませんでした。むしろ「ワンルームをいくつか買ったほうが、戸数で分散になるのでは」という、今思えば浅はかな考えすら持っていたほどです。

実際には、ワンルーム投資は資産価値が落ちやすく、ファミリー物件のほうが値持ちしやすい傾向があります。つまり営業マンは、自分は値持ちする物件を持ちながら、客には値が落ちやすい物件を売っていたわけです。「私も買っている」は事実でも、買っている中身が違う。この情報の非対称性が、手口の本質でした。


手口③:ファミレスという「断りやすそうで断りにくい」場所

面談はファミレスでした。これも、今思えばよくできた選択です。

オフィスに呼び出されれば構えてしまうし、高級な店なら「奢られたら断りづらい」と警戒される。ファミレスは、カジュアルで気軽に見えて、長時間ねばっても不自然じゃない。コーヒー1杯で何時間でも話を続けられます。

「ちょっと話を聞くだけ」のつもりで座った椅子から、立ち上がるタイミングを失う。場所の選び方ひとつにも、相手を逃さない設計が効いていました。


手口④:その日のうちに即決させる「希少性」の演出

そして決定打が、即決クロージングです。

その日のうちに、私は1戸目を申し込みました。初対面の営業マンと、ファミレスで、数時間で、2000万円近い買い物を決めたのです。今書いていても信じられませんが、当時はそれが自然な流れに感じられました。

なぜか。希少性を演出されたからです。

「このマンションの空き部屋はもう残りわずか」 「人気の物件だから、今申し込まないと他の人に取られてしまう」

物件の空室状況を見せられ、「今決めないと手に入らないかもしれない」という空気を作られる。考える時間を与えないのが、この手口の核心です。

冷静に持ち帰って一晩考えれば、ローンの総額、空室のリスク、出口の難しさに気づけたかもしれません。でも「今だけ」と言われると、その検討時間そのものを奪われてしまう。

1戸目は「まだマシな立地」だった

巧妙だったのは、1戸目はまだマシな立地だったことです。

最初に極端に悪い物件を出すと警戒されます。だから1戸目は、それなりに納得感のある物件を出して、「悪くなかった」という成功体験を作る。問題は、その後でした。


手口⑤:節税・年金・売却益という「3点セット」のトーク

セールストークは、判で押したように3点セットでした。

トーク言われたこと実際
節税になる家賃の赤字を給与所得から引いて税金が減る赤字を出して税を減らしているだけ。長期では資産が減る
年金代わりになるローン完済後は家賃が丸ごと収入になる完済時には築古化・家賃下落・修繕費増
売却益も狙える値上がりしたら売って儲けられる新築プレミアム分が即座に剥がれ、売却は損になりやすい

この3点セットがなぜ効くのかというと、「節税(今の得)」「年金(将来の安心)」「売却益(夢)」と、時間軸の違う欲望を一度に刺激してくるからです。どれか一つは必ず刺さるように設計されています。

それぞれのトークの「正体」は売却記事で詳しく分解したので、ここでは深入りしません。

投資用ワンルームマンション3戸を売却した話


手口⑥:融資枠を使い切るまで「もう1戸」を畳み掛ける

1戸目を買って1年も経たないうちに、「もう1戸あれば、さらに節税効果が上がります」と2戸目を勧められました。そして3戸目。

このペースには理由があったと、後から気づきました。買える限り買わせるのです。

決定的だったのは、その後に勧められた太陽光発電投資です。話は契約する方向で進んでいたのに、ある時点で急に立ち消えになりました。

おそらく、マンション3戸でローンの融資可能上限に達していたのだと思います。私の与信枠が尽きたから、太陽光の融資が下りなくなった——そう考えると、急な立ち消えのつじつまが合います。

つまり営業側から見れば、顧客の借入可能額は「売れる枠」です。枠が残っている限り、節税・分散・第二の収入と理由を変えて、次の商品を勧め続ける。枠を使い切ったら、次は融資のいらない商品に切り替える。これが第5の手口です。


手口⑦:不動産の次は保険、その次は……「カモリスト化」

融資枠を使い切った後、同じ営業マンから紹介されたのが、保険でした。

その流れで契約してしまったのが、貯蓄型の保険です。最終的に他社含め3社で、月4万円以上の保険料を数年間払い続けることになりました(この顛末は別記事に書いています)。

そして営業マンが独立した後には、太陽光発電、さらには「誰か紹介してくれ」という勧誘まで続きました。

ここで理解しておきたいのは、一度買った客は「カモリスト」に載るということです。お金を出すと分かっている相手には、不動産の次は保険、保険の次は太陽光、と次々に商品が回ってくる。最初の一件は、入り口にすぎないのです。

一人の営業マンに捕まると、その人の扱う商品を一通り売られる。商品が変わっても、売る相手は同じ。この構造に気づくまで、私は何年もかかりました。


では、どう自衛すればよかったのか

過去の自分に伝えるつもりで、自衛策を5つ書きます。

① 紹介でも「その場で契約しない」を絶対ルールにする

知人の紹介だろうと、その日に契約しないと決めておくだけで、即決クロージングは効かなくなります。「必ず一晩持ち帰る」を例外なく徹底する。これだけで多くの失敗は防げます。

② 「今だけ」「残りわずか」は判断を急がせるサインと考える

希少性を強調されたら、それはこちらの検討時間を奪おうとしている合図だと捉える。本当に良い物件なら、一晩考えても価値は変わりません。急がされること自体が黄色信号です。

③ 紹介者にインセンティブがないか疑う

「あの人も勧めている」の裏に紹介料がないか。勧める人の利益と自分の利益が一致しているかを一度立ち止まって考える。善意と営業は両立してしまいます。

④ 借入可能額は「守るべき枠」だと意識する

融資枠は、営業側から見れば「売れる枠」です。裏を返せば、自分にとっては守るべき枠。枠が残っているからと次々借りるのではなく、枠を簡単に明け渡さない意識を持つ。

⑤ 一度の契約で「リスト化」される前提で付き合う

一件契約すれば、次の商品が回ってくる前提で身構える。「次に何を勧められるか」を先回りして考えるだけで、保険・太陽光の二の矢三の矢に冷静に対応できます。


まとめ:手口を知っていれば、入り口で止まれる

私が3戸300万円の損切りに至るまでに受けた営業手口を、整理します。

  1. 知人・同僚の紹介で警戒心を外す(裏に紹介料)
  2. 「私も買っている」という自己開示(ただし営業マンが持つのは値持ちするファミリー物件)
  3. ファミレスという断りにくい場で長時間ねばる
  4. その日のうちに即決させる(希少性の演出)
  5. 節税・年金・売却益の3点セットで時間軸の違う欲望を刺激
  6. 融資枠を使い切るまで「もう1戸」を畳み掛ける
  7. 枠が尽きたら保険・太陽光へ「カモリスト化」(独立後は紹介料100万円で勧誘側に引き込もうとする)

どれも、一つひとつ取り出せば「言われてみれば当たり前」の話です。でも、順番に、自然な流れで仕掛けられると、当時の私はまったく気づけませんでした

手口に名前を付けて知っておくこと。それが、入り口で立ち止まるための一番の武器です。

結論:資産形成にワンルーム(コンパクトマンション)は不要

そのうえで、手口の話を超えた結論をはっきり書いておきます。

資産形成を目的にするなら、投資用ワンルームマンションは不要です。「コンパクトマンション」と呼び名を変えて売られていても、中身は同じものです。

私は3戸を実際に買い、保有し、売却して約300万円を失って、ようやくこの結論にたどり着きました。新築プレミアムの分だけ買った瞬間に価値が落ち、空室・修繕・税金・修繕積立金の値上げで実質利回りは表面利回りの半分以下に沈み、出口でも損が出やすい。同じお金を出すなら、手間も分散も流動性もJREITや投資信託のほうが上です。

「実物の不動産を持ちたい」という願望以外に、資産形成の手段としてワンルームを選ぶ理由は、私には見当たりません。まして、ファミレスで即決を迫られて買うようなものでは決してないと、断言できます。

この記事が、誰かが同じ道をたどらずに済むきっかけになればと願っています。


よくある質問(FAQ)

Q1. 知人の紹介なら、やはり安全なのでは?

紹介者が善意であっても、商品の良し悪しとは無関係です。さらに紹介料が発生する仕組みがある場合、紹介者の利益と自分の利益は一致しません。「誰が勧めたか」ではなく「中身がどうか」で判断してください。

Q2. その場で契約を断ると、関係が気まずくなりませんか?

「家族と相談してから」「一晩考えてから」は、まっとうな大人の対応です。これで気を悪くする相手や、急かしてくる相手は、その時点で警戒すべきサインです。本当に顧客本位なら、検討時間を尊重します。

Q3. 即決を迫られたら、どう切り返せばいいですか?

「今日中に決めないと無くなる物件なら、ご縁がなかったということで結構です」と返すのが有効です。本当に良い案件は、急がなくても次が来ます。希少性を盾に判断を急がせる相手とは、距離を取って構いません。

Q4. 1戸目がまともな物件だったら、信用してもいいのでは?

最初の一件で成功体験を作るのは、その後を勧めやすくするための定石です。1戸目の良し悪しと、2戸目以降の良し悪しは別問題として、毎回ゼロから判断する必要があります。

Q5. なぜ太陽光発電の話は立ち消えになったのですか?

確証はありませんが、マンション3戸でローンの融資可能上限に達し、追加の融資が下りなくなったためだと推測しています。与信枠が尽きると、融資前提の商品は勧められなくなる、という構造が見えた出来事でした。

Q6. すでに買ってしまった場合は、どうすればいいですか?

まずは表面利回りではなく実質利回りで現状を冷静に計算し、保有コスト(空室・修繕・税金・金利)と出口の相場を把握することです。売却まで含めた私の判断と結果は、売却記事に具体的に書いています。


免責事項:本記事は筆者個人の体験談・所感を共有するものであり、特定の事業者・商品の評価や、購入・売却の推奨を目的とするものではありません。投資判断・契約判断は必ずご自身の責任で行ってください。