Showing Posts From
家計改善
- 13 Jun, 2026
育休中の社会保険料免除を2回体験した話【手当67%でも手取りは思ったより減らない】
「育休を取ったら、収入は67%になる」 第2子の育休を検討していたとき、私が最初に調べて出てきた数字です。3割以上減る。毎月の積立投資も、子ども2人分の生活費もあるのに、大丈夫なのか——正直、身構えました。 でも実際に育休に入ってみると、手取りベースの減り方は想像よりずっと小さかったのです。その理由が、今回のテーマである社会保険料の免除です。 私は公務員時代に第1子で9ヶ月、IT企業に転職してから第2子で12ヶ月(現在取得中)と、立場の違う2回の育休を経験しました。この記事を読むと、「育休中は何の支払いが消えるのか」「何は消えずに残るのか」、そして「67%という数字がなぜ手取り8割になるのか」がわかります。私が2回の育休で見た「給与明細の変化」 まず体験談から。 私は第2子の育休を2026年4月28日から取得しました。4月はほとんど働いていたので、4月分の給与は5月にいつもどおり振り込まれています。その給与明細を見ると——いつも引かれていた健康保険料と厚生年金保険料の欄が0円になっていました。 月のうち育休はわずか3日。それでも4月分の保険料がまるごと免除されたのです。理由は後述する「月末ルール」にあります。 一方で、同じ明細でも雇用保険料・所得税・住民税は引かれていました。これらは「働いて受け取った給与」にかかるものなので、出勤していた分には普通にかかります。整理するとこうなります。控除項目 育休中の扱い健康保険料 免除(0円)。免除の月は働いた分の給与からも引かれない厚生年金保険料 免除(0円)。同上雇用保険料 給与が出た分にはかかる。無給なら発生しない所得税 給与が出た分にはかかる。育児休業給付金は非課税住民税 免除されない(後述)健康保険料と厚生年金保険料は、合わせると額面の約15%(本人負担分)。月収30万円の人なら、毎月約4.2万円が引かれている計算です。これが育休中はまるごと消えます。年間にすれば50万円規模。小さくない金額です。 しかも免除されるのは本人負担分だけではありません。会社負担分も含めて免除されます。あなたが「育休中も会社に保険料の負担をかけているのでは」と気にする必要はありません。 公務員時代の第1子育休でも、共済組合の掛金が同じように免除されました。呼び方は違っても、構造は同じです。公務員と会社員の育休のお金の違いについては、別の記事で詳しく書く予定です。免除される条件:「月末ルール」と「14日ルール」 社会保険料の免除は、育休を取れば自動的に全期間が対象になる——わけではありません。月単位で判定されます。条件は2022年10月の法改正後、次の2つです。 条件①:月末時点で育休中(月末ルール) その月の末日に育休を取得していると、その月の保険料が免除されます。 たとえば6月30日を含んで育休を取っていれば、6月分の保険料が免除。逆に、6月1日から6月29日まで29日間育休を取っても、月末の30日に復帰していれば6月分は免除されません。 私の4月28日開始のケースがまさにこれでした。4月の育休はたった3日でも、月末の4月30日を含んでいたので、4月分の保険料がまるごと免除。日割りではなく月単位——ここがこの制度の特徴です。 条件②:同じ月の中で14日以上の育休(14日ルール) 月末を含まなくても、開始と終了が同じ月内で、14日以上育休を取れば、その月の保険料は免除されます。2022年10月に追加されたルールです。 産後パパ育休(出生時育児休業)のような短期取得でも、14日以上であれば免除が受けられるようになりました。 賞与は「1ヶ月超」のハードルがある 注意したいのが賞与(ボーナス)です。賞与にかかる社会保険料は、賞与月の末日を含む連続1ヶ月超の育休を取っている場合だけ免除されます。 「1ヶ月超」は暦日で厳密に判定されます。12月16日〜1月15日の取得はちょうど1ヶ月なので対象外。12月16日〜1月16日なら1ヶ月超で対象——1日の差で扱いが変わります。対象 免除の条件毎月の保険料 月末時点で育休中、または同月内に14日以上の育休賞与の保険料 賞与月の末日を含む連続1ヶ月超の育休私のように長期で取る場合は気にする必要はほぼありませんが、短期の育休を検討しているなら、開始日と終了日の設計で結果が変わります。 手続きは会社経由。本人がやることはほぼない 免除の申請は、会社(事業主)が年金事務所に届け出る仕組みです。私自身、免除のために自分で書類を書いた記憶がありません。育休の申請をすれば、あとは会社側で処理されます。誤解されがちな3つのポイント ここからが本題です。社会保険料免除には「知らないと損する」というより、「誤解したまま不安になる」ポイントが3つあります。 誤解①:「保険料を払わないと、将来の年金が減るのでは」 減りません。 育休中の免除期間は、保険料を納めた期間として年金記録に反映されます。それも、育休前の標準報酬月額(給与水準)のまま計算されます。未納でも猶予でもなく、「払ったことになる」のです。 健康保険も同じで、免除期間中も被保険者のまま。保険証は使えますし、傷病手当金などの給付条件も変わりません。 第1子のとき、私はここを誤解していて「育休の分だけ年金が減るなら、その分NISAを増やすべきか」と考えたことがあります。調べた結果、取り越し苦労でした。 誤解②:「税金も全部かからなくなる」 住民税は別です。 住民税は前年の所得に対して課税されます。育休に入った年は、前年=働いていた年の所得に対する住民税を払うことになります。給与天引き(特別徴収)ができなくなるので、自宅に納付書が届いて自分で払う(普通徴収)か、育休前の給与からまとめて引かれるか、いずれかの形になります。 公務員時代の第1子育休では、私も普通徴収に切り替わりました。納付書での支払いは年4回の分割が基本ですが、うっかり忘れそうだったので、私はまとめて全額払ってしまいました。残高は減りますが、「払い忘れて督促が来る」心配から解放されるので、資金に余裕があれば一括払いも選択肢です。 収入が減ったタイミングで、働いていた頃の税金の請求が届く——これが育休家計のいちばんの落とし穴です。月収30万円程度なら住民税は年間でおよそ十数万円。育休前に住民税の支払い分は現金で確保しておくことをおすすめします。 誤解③:「収入67%は、手取りも67%になる」 ここが今回いちばん伝えたいポイントです。 育児休業給付金は、休業開始時賃金の67%(181日目からは50%)。数字だけ見ると大幅減です。でも、この給付金には3つの「引かれないもの」があります。社会保険料がかからない(この記事のテーマ。働いていれば約15%引かれていた) 所得税がかからない(給付金は非課税) 翌年の住民税の算定にも入らない(非課税所得のため)働いているときの手取りは、額面の75〜80%程度。一方、育休中は「額面の67%」がほぼそのまま手元に残ります。比べる土俵を手取りに揃えると、67%給付の期間で手取りの約8割になる計算です。 「収入が3分の2になる」と「手取りが2割減る」では、受ける印象がだいぶ違います。私が育休前に身構えていたほど家計が苦しくならなかったのは、この構造のおかげでした。2025年・2026年の制度改正でさらに手厚くなった 私の第2子育休(2026年4月〜)は、ちょうど新制度の恩恵を受けるタイミングでした。2つ紹介します。 出生後休業支援給付金(2025年4月〜):最初の28日は「手取り10割」 2025年4月に新設された給付金です。両親がともに14日以上の育休を取るなどの要件を満たすと、**最大28日間、給付率が13%上乗せされて80%**になります。 80%の給付に、社会保険料免除と非課税を合わせると、手取りベースではほぼ10割。出生直後のいちばん大変な時期は、収入面の心配がほぼない状態で休めるようになりました。 子ども・子育て支援金(2026年4月〜):徴収が始まったが、育休中は対象外 2026年4月から、医療保険料に上乗せする形で「子ども・子育て支援金」の徴収が始まりました。会社員の本人負担は当面、標準報酬月額の0.115%(月収30万円で月345円程度)です。 この支援金は健康保険料とセットで徴収されるため、育休中で保険料が免除されていれば、支援金も徴収されません。免除の判定に連動する仕組みです。まとめ表:育休中のお金、何が消えて何が残るか項目 育休中の扱い 補足健康保険料 ✅ 免除 会社負担分も免除。保険証は使える厚生年金保険料 ✅ 免除 年金記録は納付済み扱い・将来の年金は減らない子ども・子育て支援金 ✅ 徴収されない 保険料免除に連動(2026年4月〜)所得税 ✅ かからない 育児休業給付金は非課税雇用保険料 ✅ かからない 給与支給がなければ発生しない住民税 ❌ 残る 前年所得に課税。納付書で自分で払う育児休業給付金 67%→50% 最初の28日は要件を満たせば80%(2025年4月〜)育休前にやっておきたい2つの準備 ①住民税の支払い原資を現金で取り分けておく 繰り返しになりますが、住民税だけは逃げられません。育休前の月収の約半月〜1ヶ月分を目安に、生活防衛資金とは別枠で確保しておくと、納付書が届いても慌てません。 ②短期育休なら、開始日・終了日を「月末」と「14日」で設計する 長期で取るなら何も考えなくて大丈夫です。2週間〜1ヶ月程度の短期取得を考えているなら、「月末を含むか」「同月内で14日以上か」「賞与月なら1ヶ月超か」の3点で、免除されるかどうかが変わります。取得計画の段階で、人事担当に確認しておく価値があります。 ちなみに、会社員の育児休業給付金の額は、育休取得前の直近6ヶ月の給与の平均をもとに決まります。つまり育休前の働き方が、育休中の収入を決めるのです。私がこの仕組みを意識してやっていたことについては、結果が出てから別の記事で書きます。まとめ:67%という数字に怯えなくていい 育休を取るか迷っている段階のあなたに、2回の育休を経験した立場から伝えたいことは1つです。 「67%」は額面の話。手取りで見れば約8割、最初の28日は10割相当。 社会保険料の免除は申請も難しくなく、年金も減らない。怖いのは住民税の請求だけで、それも事前に取り分けておけば対処できます。お金を理由に育休をあきらめる前に、手取りベースで家計をシミュレーションしてみてください。 我が家の育休中の家計まわりでは、出産費用と高額療養費制度についても記事にしています。 → 高額療養費制度を出産で2回体験した話【吸引分娩は約12万円・正常分娩は約27万円】 → 児童手当を全額S&P500に投資している話よくある質問(FAQ) Q1. 育休中の社会保険料免除は、自分で申請が必要ですか? 原則として本人の手続きは不要です。会社(事業主)が年金事務所・健康保険組合に「育児休業等取得者申出書」を提出することで免除されます。育休の申請をすれば会社側で処理されるのが一般的ですが、心配なら人事担当に「免除の届出をお願いします」と一言確認しておくと確実です。 Q2. 免除された期間の分、将来もらえる年金は減りますか? 減りません。育休中の免除期間は「保険料を納めた期間」として扱われ、年金額の計算では育休前の標準報酬月額がそのまま使われます。国民年金の免除制度(将来の年金額が一部減る)とは仕組みが違う点に注意してください。 Q3. 育休中も健康保険証は使えますか? 使えます。保険料が免除されている間も被保険者資格は継続するため、本人も扶養家族も今までどおり医療機関を受診できます。高額療養費や出産育児一時金などの給付も受けられます。 Q4. 育休中に住民税の納付書が届きました。払わないとだめですか? 支払いが必要です。住民税は前年の所得に課税されるため、育休中も働いていた年の分の請求は続きます。給与天引きができない期間は、納付書で自分で払う「普通徴収」に切り替わるのが一般的です。一括が厳しい場合は分割納付の相談もできます。なお、育児休業給付金は非課税なので、育休で所得が減った分は翌年度の住民税が大きく下がります。また、会社によっては復帰後に特別徴収(給与天引き)へ戻すための連絡が必要な場合があるので、復帰時に人事担当へ確認してください。 Q5. 数日だけの短い育休でも保険料は免除されますか? 月末を1日でも含んでいれば、その月の保険料は免除されます。月末を含まない場合は、同じ月の中で14日以上取得していることが条件です。たとえば月の前半に10日間だけ取る形だと、どちらの条件も満たさず免除されません。短期取得なら日程設計が重要です。 Q6. ボーナス(賞与)の社会保険料も免除されますか? 賞与月の末日を含む「連続1ヶ月超」の育休を取得している場合のみ免除されます。1ヶ月ちょうどでは対象外で、暦日で1日でも超えている必要があります。長期育休なら自然に満たしますが、賞与月前後の短期取得では免除されないケースが多い点に注意してください。
- 07 Jun, 2026
投資用ワンルームマンション3戸を売却した話【トータル約300万円赤字・名古屋市・金利上昇で撤退】
「節税になるって聞いたから、ワンルームマンション買ってみた」 20代後半〜30代前半の私はこの判断をして、結果的に3戸すべてを売却し、トータルで約300万円の赤字を出して撤退しました。 この記事では、名古屋市の投資用ワンルームマンション3戸の購入価格と売却結果を全部開示 なぜ買ったか、なぜ売ったか 「節税」のトリック(赤字を出して給与所得から引く構造) 売却時の苦労(戸籍の附票・複数仲介) これから不動産投資を考えている人への現実的なアドバイス JREITとの比較を、痛い目をした当事者として正直に書いていきます。 なお、家計の見直し全体については過去記事で書いてきました。あわせてどうぞ。貯蓄型保険3社を全解約してNISAに移した話 我が家の保険ポートフォリオ全公開 お金の勉強で読んでよかった本5冊ランキング結論:3戸とも売却・トータル約300万円赤字で撤退 最初に結論から書きます。項目 内容物件数 3戸(名古屋市内)内訳 新築2戸 + 中古1戸購入時期 2018年・2019年・2020年購入総額 約4,700万円(3戸合計)売却完了 2026年に3戸とも売却済みトータル損益 約▲300万円(うち大半が後述の物件②)損益通算 この3戸以外に譲渡所得なしのため通算不可売却の決め手 金利上昇(変動金利が4%まで上がる見込み)「もう一度過去に戻れるなら、絶対に買わない」——これが正直な感想です。なぜ買ったのか:知人紹介+「節税になる」というセールストーク きっかけは知人からの紹介 最初の1戸を買ったのは、20代後半。知人から紹介された不動産営業マンとの出会いがきっかけでした。 「節税になるよ」 「老後の年金の足しになるよ」 「家賃収入でローンを返すだけだから、ノーリスクで資産が増えるよ」 ——これが営業トークの3点セットです。 当時の私は、お金の知識がほぼゼロ。NISAもiDeCoも知らず、貯金は普通預金にあるだけ。「節税」「家賃でローン返済」「老後の備え」というキーワードに、ハードルなく入ってしまったわけです。 「節税」のトリックを今だから書ける 「節税」と聞くと響きはいいですが、構造を分解するとこういうことです。項目 内容家賃収入 月◯万円 入ってくる経費 ローン利子・固定資産税・管理費・修繕積立金・減価償却費 等不動産所得 家賃収入 - 経費 = 多くの場合赤字損益通算 不動産所得の赤字を給与所得から差し引く結果 課税所得が下がり、所得税・住民税が少し減るつまり、**「節税のため」と言えば聞こえはいいですが、実態は『赤字を出して税金を減らしている』**だけ。 赤字は赤字なので、事業としてはダメです。減価償却が終わって経費計上できる額が減ると、節税効果も縮小します。長期で見るとほぼ確実に**「節税額 < 赤字額」**になります。 これに気づくのに、私は何年もかかりました。我が家の3戸の詳細 ここからは、実際の3戸の購入時期・購入価格・所感を順に書きます。 物件①:2018年購入・名古屋市・新築・約1,700万円 最初の1戸。新築ワンルームマンション。約1,700万円。 月々のキャッシュフローは、家賃収入とローン返済額がほぼ同等で、毎月の持ち出しはありませんでした。営業マンが言う「家賃でローンを返してくれる」という説明は、月単位で見ると確かにその通りに見えました。 ところが年単位で集計すると話は別です。退去時の修繕費、空室期間(家賃ゼロでローン継続)、毎年の固定資産税、購入翌年の不動産取得税、修繕積立金の値上げ……こうした費用が積み上がり、節税で減った税額を上回る赤字が毎年積み上がる構造でした。 入居者の入れ替わりは少なかったが、それでも退去時の修繕費・空室期間は確実に発生。表面利回りで計算していた頃の想定よりも実質利回りは下がっていきました。 物件②:2019年購入・名古屋市・新築・約1,600万円 2戸目。ここが最大の失敗でした。 新築ワンルームを買って1年も経たないうちに紹介された2件目。「もう1戸あればさらに節税効果が上がる」というロジックで購入してしまいました。 この物件は入居者が退去して数ヶ月空き、家賃収入ゼロでローンだけ払う期間が複数回ありました。空室期間は当然、自分の貯金からローン返済する形になります。 結果的に、3戸の赤字約300万円のほぼ全額がこの物件②から発生しました。 物件③:2020年購入・名古屋市・中古(築10年で高め)・約1,400万円 3戸目は、新築ではなく築10年の中古ワンルーム。 「中古なら新築価格の上乗せがないからお得」という営業トークでしたが、築10年にしては1,400万円と割高でした。後から振り返ると、もう中古物件にも"新築並みの上乗せ価格"がついていたわけです。 幸い、この物件は売却時にギリギリ残債とトントン(微プラス)で着地しました。なぜ売ったのか:金利上昇で変動金利が4%まで上がる見込み 3戸とも保有を続けるかどうかの判断は、2025〜2026年の金利上昇が決定打になりました。 私が組んでいた不動産投資ローンは変動金利。日銀の利上げと連動して上がり続け、2026年中には適用金利が4%近くまで上がる見込みになっていました。 家賃収入で支払えるローン利子には限界があります。金利が4%まで上がれば、月の持ち出し(家賃収入 - ローン返済)が大きく膨らむ 損益通算しても給与所得との相殺で吸収しきれない 売るなら金利上昇の影響を相場が織り込む前——という判断で、3戸まとめて出口戦略を実行しました。 もし金利が上がっていなければ? 正直、金利が上がらなければもう少し持っていたかもしれません。 ただ、保有を続けた先に何があったかと言うと:減価償却が終わって節税効果が縮小 入居者退去のたびに数万円の修繕費 修繕積立金が15〜20年目で大きく値上げ 出口で売却するときの相場下落リスク長期で持つほど後半に負担が集中する設計なので、金利上昇は単なるトリガーで、いずれ売る判断はしていたと思います。売却結果:3戸合計で約300万円の赤字 3戸の売却損益はこんな感じです。物件 購入年 購入価格 売却損益① 新築 2018年 約1,700万円 ほぼトントン(微プラス)② 新築 2019年 約1,600万円 大きな赤字(▲約300万円相当)③ 中古 2020年 約1,400万円 ほぼトントン(微プラス)合計約4,700万円 約▲300万円物件②の損失額が突出しています。新築ワンルームの「新築プレミアム」を真正面から食らった結果です。 損益通算ができないという誤算 譲渡所得(不動産売却益)は他の譲渡所得とのみ損益通算可能。給与所得や事業所得との通算はできません。 我が家の場合:不動産売却によるマイナス約300万円 他に譲渡所得なし → 損益通算で給与所得からは差し引けない → 赤字は赤字のまま、節税にもならない来年(2027年)の年明けに確定申告予定ですが、結論として「損切りした300万円は税務上も救済されない」状態です。売却プロセス:3社の仲介・戸籍の附票で苦労 1社は仲介手数料無料、3社とも違う業者 3戸とも別々の仲介会社に依頼しました。1戸目:通常の仲介手数料あり 2戸目:通常の仲介手数料あり 3戸目:仲介手数料無料の業者仲介手数料無料の業者は、買主側からの手数料で運営しているビジネスモデル。売主側にデメリットなく利用できたので、これから売却する方は候補に入れてみると良いと思います。 戸籍の附票が想定外に面倒だった 最も予想外に手間だったのが、戸籍の附票の取得です。 物件①の購入から売却までの間に、私は結婚し戸籍が変わり引っ越しを何度も経験しています。売却の名義変更のために、過去の住所履歴を証明する戸籍の附票が必要になり、本籍地まで直接出向いて取得しなければなりませんでした。 「本籍地は遠方」「平日昼間しか役所が開いていない」この2つが重なると、有給休暇を1日まるごと潰すことになります。 今後は本籍地と住所地は近くに揃えておくのが現実的だと痛感しました(マイナンバーカードで本籍地以外でも一部取れるケースも増えていますが、附票についてはまだ限定的)。やらかしの本質:「節税」と「家賃でローン返済」のセールストーク 振り返って、私が信じてしまったセールストークの正体はこうです。 「節税になる」の正体 赤字を出して給与所得から差し引いているだけ。 節税で減る税額 < 物件から出ている赤字額、になることが多く、長期で見ると確実に資産は減ります。 「家賃でローン返済」の正体 確かに月々のキャッシュフローだけ見れば、家賃収入とローン返済額がほぼ同等で、毎月の持ち出しがゼロに見えるケースもあります(我が家の物件①がそうでした)。 ただし、これは月単位の見え方に過ぎません。家賃収入から、ローン返済以外にも固定資産税・管理費・修繕積立金・退去時の修繕費・入居者募集の広告料(AD)・購入翌年の不動産取得税が引かれる これらを年単位で集計すると、節税効果を上回るペースで赤字が積み上がる そこに空室期間が乗ると、家賃収入ゼロでローンだけ払う月が発生し、自分の貯金から返済する形になる「月の手出しがゼロだから安心」というセールストークは、年単位の損益と空室リスクを意図的に見せていないだけです。 「ノーリスクで資産形成」の正体 リスクは少なくとも以下が積み上がります:空室リスク 入居者退去時の修繕費 家賃下落リスク(築年数とともに低下) 金利上昇リスク(変動金利の場合) 修繕積立金の値上げリスク 出口(売却)時の相場下落リスク「ノーリスク」は営業トークとしての嘘でした。これから不動産投資を始めようとしている方へ:本当に必要な利回り計算 ここからは、同じ轍を踏まないために今だから書ける助言を、できるだけ具体的にお伝えします。 表面利回りで判断してはいけない 不動産業者の資料に出てくる「利回り◯%」は、ほぼ表面利回り(家賃収入 ÷ 購入価格)です。 これは現実とほど遠い数字です。 実質利回り計算で考慮すべき要素 最低でも以下を全部織り込んでください:要素 影響空室率 平均10〜20%は想定。新築でも入退去サイクルあり退去時の修繕費 1回数万円。入居2,3年で1回を想定固定資産税 毎年数万〜十数万円マンション修繕積立金 築15〜20年で大幅値上げが普通不動産取得税 購入翌年に1回、数十万円かかる(見落としがち)管理費 毎月数千〜1万円入居者募集の広告料(AD) 入居者退去時に家賃の1〜2ヶ月分金利上昇 変動金利なら数年で1〜2%上昇は十分ありうるこれらを全部織り込んで実質利回りを計算すると、表面利回りの半分以下に落ちることが多いです。 キャッシュで買える物件のみ検討する 近年の金利上昇により、不動産投資用ローンの金利は驚くほど高い水準にあります。 私の意見としては:キャッシュで一括購入できる範囲の物件 → 検討してOK フルローン(自己資金ゼロ・全額借入)での購入 → 絶対にやめたほうがいい 例外:余裕で一括返済できるだけのキャッシュを持っている人フルローンで買ってしまうと、空室・修繕・金利上昇のどれか1つでバランスが崩れます。 新築は絶対に買ってはいけない これはワンルームに限らずファミリー・戸建てでも同じです。 新築は「新築プレミアム」が3割前後上乗せされています。買って住み始めた瞬間に「中古」になるので、その時点で資産価値は購入価格の7割前後まで落ちます。 「ファミリー用なら新築でいいでしょ」と思う方も多いですが、実需でもこの新築プレミアム分は損するので、本気でお金にこだわるなら新築は避けるほうがよいです。 「コンパクトマンション」という呼び名に注意 最近、ワンルームマンションの代わりに「コンパクトマンション」という呼び名で売る業者が出てきました。 ワンルームという名前のイメージが悪くなったから言い換えただけで、中身は同じです。呼び名が変わっただけで判断軸も変えないように。JREITとの比較:手間と利回りで考えると JREIT 一択 撤退してから、不動産投資の代替として**JREIT(不動産投資信託)**を勉強しました。項目 投資用ワンルーム JREIT必要資金 1戸数千万円〜 1口数万円〜利回り(分配金) 表面 約4〜5%(実質は1〜2%程度) 年4〜5%が標準流動性 売却に数ヶ月 株式と同じく即時売買可管理の手間 入居者対応・修繕対応・確定申告 ほぼゼロ分散性 1物件のみ 数十〜数百物件に分散ローン依存 大きい ゼロNISA対応 × ◯(成長投資枠で買付可)実質利回りと管理の手間ひまを天秤にかけると、ワンルームよりJREITのほうがほぼ確実に有利です。 「実物の不動産を持ちたい」という願望以外の理由で投資用ワンルームを選ぶ理由は、私には今となっては見当たりません。不動産営業から保険営業を紹介される「業界ネットワーク」 最後に、これは絶対書いておきたい話。 不動産投資の営業から、ある日「いい保険の人がいる」と保険営業を紹介されました。 その流れで紹介されたのが、プルデンシャル生命の営業 アクサ生命の営業この時点では気づいていませんでしたが、金融営業マンたちは横にも縦にも繋がっていて、1人にやられたら他の高額商品もどんどん紹介されていく仕組みです。 私はこの流れで、プルデンシャル生命のドル建て養老保険・アクサ生命のユニットリンクも契約してしまい、最終的に他の保険含め3社で月4万円以上の保険料を数年間払い続けることになりました。 保険のほうは別記事で詳しく書いています。貯蓄型保険3社を全解約してNISAに移した話なお、その後プルデンシャル生命では2026年に金融庁検査が入り、社員らによる31億円規模の詐取事件が発覚しました。一連の流れを振り返ると、金融商品の「紹介ネットワーク」そのものが、構造的に顧客を食い物にする仕組みだったと、いま改めて感じます。まとめ:3戸300万円赤字で学んだ最大の教訓 長く書いてきましたが、要点をまとめます。「節税」=「赤字を給与所得から引いている」だけ。長期では資産が減る 新築は3割の上乗せ。投資用も実需も新築は避ける 表面利回りは現実から遠い。空室・修繕・税金・修繕積立金値上げ・不動産取得税まで全部織り込む フルローンでの不動産投資は禁忌。キャッシュで買える物件のみ検討 コンパクトマンションは名称変更しただけで中身は同じ JREITのほうがほぼ確実に有利(手間・分散・流動性) 不動産営業の先には保険営業がいる。高額金融商品の紹介ネットワーク 金利上昇は出口の引き金になる。変動金利は思っているより怖い3戸300万円の損切りは痛かったですが、この経験がなければ家計の根本的な見直しに踏み切れなかったのも事実です。投資に興味を持ったきっかけがこれらの物件だったというのは皮肉ですが、紛れもない事実です。 これから不動産投資を考えている方が、私と同じ道をたどらないことを願っています。免責事項:本記事は筆者個人の体験談・所感を共有するものであり、特定の投資手法・物件の購入や売却を推奨するものではありません。投資判断・税務判断は必ずご自身の責任で行ってください。