投資用ワンルームマンション3戸を売却した話【トータル約300万円赤字・名古屋市・金利上昇で撤退】

投資用ワンルームマンション3戸を売却した話【トータル約300万円赤字・名古屋市・金利上昇で撤退】
目次

「節税になるって聞いたから、ワンルームマンション買ってみた」

20代後半〜30代前半の私はこの判断をして、結果的に3戸すべてを売却し、トータルで約300万円の赤字を出して撤退しました。

この記事では、

  • 名古屋市の投資用ワンルームマンション3戸の購入価格と売却結果を全部開示
  • なぜ買ったか、なぜ売ったか
  • 「節税」のトリック(赤字を出して給与所得から引く構造)
  • 売却時の苦労(戸籍の附票・複数仲介)
  • これから不動産投資を考えている人への現実的なアドバイス
  • JREITとの比較

を、痛い目をした当事者として正直に書いていきます。

なお、家計の見直し全体については過去記事で書いてきました。あわせてどうぞ。


結論:3戸とも売却・トータル約300万円赤字で撤退

最初に結論から書きます。

項目内容
物件数3戸(名古屋市内)
内訳新築2戸 + 中古1戸
購入時期2018年・2019年・2020年
購入総額約4,700万円(3戸合計)
売却完了2026年に3戸とも売却済み
トータル損益約▲300万円(うち大半が後述の物件②)
損益通算この3戸以外に譲渡所得なしのため通算不可
売却の決め手金利上昇(変動金利が4%まで上がる見込み)

「もう一度過去に戻れるなら、絶対に買わない」——これが正直な感想です。


なぜ買ったのか:知人紹介+「節税になる」というセールストーク

きっかけは知人からの紹介

最初の1戸を買ったのは、20代後半。知人から紹介された不動産営業マンとの出会いがきっかけでした。

節税になるよ」 「老後の年金の足しになるよ」 「家賃収入でローンを返すだけだから、ノーリスクで資産が増えるよ」

——これが営業トークの3点セットです。

当時の私は、お金の知識がほぼゼロ。NISAもiDeCoも知らず、貯金は普通預金にあるだけ。「節税」「家賃でローン返済」「老後の備え」というキーワードに、ハードルなく入ってしまったわけです。

「節税」のトリックを今だから書ける

「節税」と聞くと響きはいいですが、構造を分解するとこういうことです。

項目内容
家賃収入月◯万円 入ってくる
経費ローン利子・固定資産税・管理費・修繕積立金・減価償却費 等
不動産所得家賃収入 - 経費 = 多くの場合赤字
損益通算不動産所得の赤字を給与所得から差し引く
結果課税所得が下がり、所得税・住民税が少し減る

つまり、**「節税のため」と言えば聞こえはいいですが、実態は『赤字を出して税金を減らしている』**だけ。

赤字は赤字なので、事業としてはダメです。減価償却が終わって経費計上できる額が減ると、節税効果も縮小します。長期で見るとほぼ確実に**「節税額 < 赤字額」**になります。

これに気づくのに、私は何年もかかりました。


我が家の3戸の詳細

ここからは、実際の3戸の購入時期・購入価格・所感を順に書きます。

物件①:2018年購入・名古屋市・新築・約1,700万円

最初の1戸。新築ワンルームマンション。約1,700万円

月々のキャッシュフローは、家賃収入とローン返済額がほぼ同等で、毎月の持ち出しはありませんでした。営業マンが言う「家賃でローンを返してくれる」という説明は、月単位で見ると確かにその通りに見えました。

ところが年単位で集計すると話は別です。退去時の修繕費、空室期間(家賃ゼロでローン継続)、毎年の固定資産税、購入翌年の不動産取得税、修繕積立金の値上げ……こうした費用が積み上がり、節税で減った税額を上回る赤字が毎年積み上がる構造でした。

入居者の入れ替わりは少なかったが、それでも退去時の修繕費・空室期間は確実に発生。表面利回りで計算していた頃の想定よりも実質利回りは下がっていきました。

物件②:2019年購入・名古屋市・新築・約1,600万円

2戸目。ここが最大の失敗でした。

新築ワンルームを買って1年も経たないうちに紹介された2件目。「もう1戸あればさらに節税効果が上がる」というロジックで購入してしまいました。

この物件は入居者が退去して数ヶ月空き、家賃収入ゼロでローンだけ払う期間が複数回ありました。空室期間は当然、自分の貯金からローン返済する形になります。

結果的に、3戸の赤字約300万円のほぼ全額がこの物件②から発生しました。

物件③:2020年購入・名古屋市・中古(築10年で高め)・約1,400万円

3戸目は、新築ではなく築10年の中古ワンルーム

「中古なら新築価格の上乗せがないからお得」という営業トークでしたが、築10年にしては1,400万円と割高でした。後から振り返ると、もう中古物件にも”新築並みの上乗せ価格”がついていたわけです。

幸い、この物件は売却時にギリギリ残債とトントン(微プラス)で着地しました。


なぜ売ったのか:金利上昇で変動金利が4%まで上がる見込み

3戸とも保有を続けるかどうかの判断は、2025〜2026年の金利上昇が決定打になりました。

私が組んでいた不動産投資ローンは変動金利。日銀の利上げと連動して上がり続け、2026年中には適用金利が4%近くまで上がる見込みになっていました。

家賃収入で支払えるローン利子には限界があります。金利が4%まで上がれば、

  • 月の持ち出し(家賃収入 - ローン返済)が大きく膨らむ
  • 損益通算しても給与所得との相殺で吸収しきれない
  • 売るなら金利上昇の影響を相場が織り込む前

——という判断で、3戸まとめて出口戦略を実行しました。

もし金利が上がっていなければ?

正直、金利が上がらなければもう少し持っていたかもしれません

ただ、保有を続けた先に何があったかと言うと:

  • 減価償却が終わって節税効果が縮小
  • 入居者退去のたびに数万円の修繕費
  • 修繕積立金が15〜20年目で大きく値上げ
  • 出口で売却するときの相場下落リスク

長期で持つほど後半に負担が集中する設計なので、金利上昇は単なるトリガーで、いずれ売る判断はしていたと思います。


売却結果:3戸合計で約300万円の赤字

3戸の売却損益はこんな感じです。

物件購入年購入価格売却損益
① 新築2018年約1,700万円ほぼトントン(微プラス)
② 新築2019年約1,600万円大きな赤字(▲約300万円相当)
③ 中古2020年約1,400万円ほぼトントン(微プラス)
合計約4,700万円約▲300万円

物件②の損失額が突出しています。新築ワンルームの「新築プレミアム」を真正面から食らった結果です。

損益通算ができないという誤算

譲渡所得(不動産売却益)は他の譲渡所得とのみ損益通算可能。給与所得や事業所得との通算はできません。

我が家の場合:

  • 不動産売却によるマイナス約300万円
  • 他に譲渡所得なし → 損益通算で給与所得からは差し引けない
  • 赤字は赤字のまま、節税にもならない

来年(2027年)の年明けに確定申告予定ですが、結論として「損切りした300万円は税務上も救済されない」状態です。


売却プロセス:3社の仲介・戸籍の附票で苦労

1社は仲介手数料無料、3社とも違う業者

3戸とも別々の仲介会社に依頼しました。

  • 1戸目:通常の仲介手数料あり
  • 2戸目:通常の仲介手数料あり
  • 3戸目:仲介手数料無料の業者

仲介手数料無料の業者は、買主側からの手数料で運営しているビジネスモデル。売主側にデメリットなく利用できたので、これから売却する方は候補に入れてみると良いと思います。

戸籍の附票が想定外に面倒だった

最も予想外に手間だったのが、戸籍の附票の取得です。

物件①の購入から売却までの間に、私は結婚し戸籍が変わり引っ越しを何度も経験しています。売却の名義変更のために、過去の住所履歴を証明する戸籍の附票が必要になり、本籍地まで直接出向いて取得しなければなりませんでした。

「本籍地は遠方」「平日昼間しか役所が開いていない」この2つが重なると、有給休暇を1日まるごと潰すことになります。

今後は本籍地と住所地は近くに揃えておくのが現実的だと痛感しました(マイナンバーカードで本籍地以外でも一部取れるケースも増えていますが、附票についてはまだ限定的)。


やらかしの本質:「節税」と「家賃でローン返済」のセールストーク

振り返って、私が信じてしまったセールストークの正体はこうです。

「節税になる」の正体

赤字を出して給与所得から差し引いているだけ

節税で減る税額 < 物件から出ている赤字額、になることが多く、長期で見ると確実に資産は減ります

「家賃でローン返済」の正体

確かに月々のキャッシュフローだけ見れば、家賃収入とローン返済額がほぼ同等で、毎月の持ち出しがゼロに見えるケースもあります(我が家の物件①がそうでした)。

ただし、これは月単位の見え方に過ぎません。

  • 家賃収入から、ローン返済以外にも固定資産税・管理費・修繕積立金・退去時の修繕費・入居者募集の広告料(AD)・購入翌年の不動産取得税が引かれる
  • これらを年単位で集計すると、節税効果を上回るペースで赤字が積み上がる
  • そこに空室期間が乗ると、家賃収入ゼロでローンだけ払う月が発生し、自分の貯金から返済する形になる

「月の手出しがゼロだから安心」というセールストークは、年単位の損益と空室リスクを意図的に見せていないだけです。

「ノーリスクで資産形成」の正体

リスクは少なくとも以下が積み上がります:

  • 空室リスク
  • 入居者退去時の修繕費
  • 家賃下落リスク(築年数とともに低下)
  • 金利上昇リスク(変動金利の場合)
  • 修繕積立金の値上げリスク
  • 出口(売却)時の相場下落リスク

「ノーリスク」は営業トークとしての嘘でした。


これから不動産投資を始めようとしている方へ:本当に必要な利回り計算

ここからは、同じ轍を踏まないために今だから書ける助言を、できるだけ具体的にお伝えします。

表面利回りで判断してはいけない

不動産業者の資料に出てくる「利回り◯%」は、ほぼ表面利回り(家賃収入 ÷ 購入価格)です。

これは現実とほど遠い数字です。

実質利回り計算で考慮すべき要素

最低でも以下を全部織り込んでください:

要素影響
空室率平均10〜20%は想定。新築でも入退去サイクルあり
退去時の修繕費1回数万円。入居2,3年で1回を想定
固定資産税毎年数万〜十数万円
マンション修繕積立金築15〜20年で大幅値上げが普通
不動産取得税購入翌年に1回、数十万円かかる(見落としがち)
管理費毎月数千〜1万円
入居者募集の広告料(AD)入居者退去時に家賃の1〜2ヶ月分
金利上昇変動金利なら数年で1〜2%上昇は十分ありうる

これらを全部織り込んで実質利回りを計算すると、表面利回りの半分以下に落ちることが多いです。

キャッシュで買える物件のみ検討する

近年の金利上昇により、不動産投資用ローンの金利は驚くほど高い水準にあります。

私の意見としては:

  • キャッシュで一括購入できる範囲の物件 → 検討してOK
  • フルローン(自己資金ゼロ・全額借入)での購入絶対にやめたほうがいい
  • 例外:余裕で一括返済できるだけのキャッシュを持っている人

フルローンで買ってしまうと、空室・修繕・金利上昇のどれか1つでバランスが崩れます。

新築は絶対に買ってはいけない

これはワンルームに限らずファミリー・戸建てでも同じです。

新築は「新築プレミアム」が3割前後上乗せされています。買って住み始めた瞬間に「中古」になるので、その時点で資産価値は購入価格の7割前後まで落ちます。

「ファミリー用なら新築でいいでしょ」と思う方も多いですが、実需でもこの新築プレミアム分は損するので、本気でお金にこだわるなら新築は避けるほうがよいです。

「コンパクトマンション」という呼び名に注意

最近、ワンルームマンションの代わりに「コンパクトマンション」という呼び名で売る業者が出てきました。

ワンルームという名前のイメージが悪くなったから言い換えただけで、中身は同じです。呼び名が変わっただけで判断軸も変えないように。


JREITとの比較:手間と利回りで考えると JREIT 一択

撤退してから、不動産投資の代替として**JREIT(不動産投資信託)**を勉強しました。

項目投資用ワンルームJREIT
必要資金1戸数千万円〜1口数万円〜
利回り(分配金)表面 約4〜5%(実質は1〜2%程度)年4〜5%が標準
流動性売却に数ヶ月株式と同じく即時売買可
管理の手間入居者対応・修繕対応・確定申告ほぼゼロ
分散性1物件のみ数十〜数百物件に分散
ローン依存大きいゼロ
NISA対応×◯(成長投資枠で買付可)

実質利回りと管理の手間ひまを天秤にかけると、ワンルームよりJREITのほうがほぼ確実に有利です。

「実物の不動産を持ちたい」という願望以外の理由で投資用ワンルームを選ぶ理由は、私には今となっては見当たりません。


不動産営業から保険営業を紹介される「業界ネットワーク」

最後に、これは絶対書いておきたい話。

不動産投資の営業から、ある日「いい保険の人がいる」と保険営業を紹介されました

その流れで紹介されたのが、

  • プルデンシャル生命の営業
  • アクサ生命の営業

この時点では気づいていませんでしたが、金融営業マンたちは横にも縦にも繋がっていて、1人にやられたら他の高額商品もどんどん紹介されていく仕組みです。

私はこの流れで、プルデンシャル生命のドル建て養老保険・アクサ生命のユニットリンクも契約してしまい、最終的に他の保険含め3社で月4万円以上の保険料を数年間払い続けることになりました。

保険のほうは別記事で詳しく書いています。

なお、その後プルデンシャル生命では2026年に金融庁検査が入り、社員らによる31億円規模の詐取事件が発覚しました。一連の流れを振り返ると、金融商品の「紹介ネットワーク」そのものが、構造的に顧客を食い物にする仕組みだったと、いま改めて感じます。


まとめ:3戸300万円赤字で学んだ最大の教訓

長く書いてきましたが、要点をまとめます。

  1. 「節税」=「赤字を給与所得から引いている」だけ。長期では資産が減る
  2. 新築は3割の上乗せ。投資用も実需も新築は避ける
  3. 表面利回りは現実から遠い。空室・修繕・税金・修繕積立金値上げ・不動産取得税まで全部織り込む
  4. フルローンでの不動産投資は禁忌。キャッシュで買える物件のみ検討
  5. コンパクトマンションは名称変更しただけで中身は同じ
  6. JREITのほうがほぼ確実に有利(手間・分散・流動性)
  7. 不動産営業の先には保険営業がいる。高額金融商品の紹介ネットワーク
  8. 金利上昇は出口の引き金になる。変動金利は思っているより怖い

3戸300万円の損切りは痛かったですが、この経験がなければ家計の根本的な見直しに踏み切れなかったのも事実です。投資に興味を持ったきっかけがこれらの物件だったというのは皮肉ですが、紛れもない事実です。

これから不動産投資を考えている方が、私と同じ道をたどらないことを願っています。


免責事項:本記事は筆者個人の体験談・所感を共有するものであり、特定の投資手法・物件の購入や売却を推奨するものではありません。投資判断・税務判断は必ずご自身の責任で行ってください。