育休中にもらえるお金・免除されるお金の全体マップ【4つの給付+社会保険料免除を1枚で整理】

育休中にもらえるお金・免除されるお金の全体マップ【4つの給付+社会保険料免除を1枚で整理】
目次

育休のお金の話は、とにかく制度がバラバラです。

育児休業給付金はハローワーク、出産育児一時金は健康保険、高額療養費も健康保険、社会保険料の免除は年金事務所、住民税は市区町村。しかも2025年には新しい給付が2つも増えました。

私は公務員時代に第1子で9ヶ月、IT企業に転職してから第2子で12ヶ月(現在取得中)と、立場の違う2回の育休を経験しています。2回目の育休に入るとき、正直こう思いました——「1回目で全部わかったつもりだったのに、また調べ直している」と。

原因はハッキリしていて、1枚の地図がどこにもなかったからです。制度ごとの解説記事はたくさんあるのに、「全部で何種類あって、どれが自分に関係あるのか」がわからない。

そこでこの記事では、育休まわりのお金を1枚に整理した地図を作ります。各制度の深い話は、このブログでこれまで書いてきた個別記事に譲ります。この記事は地図に徹します。


全体マップ:育休のお金は「4つの給付」+「2つの免除・軽減」+「2つの落とし穴」

まず全体像です。

#制度もらえる/消える額窓口
①育児休業給付金賃金の67%(181日目〜50%)ハローワーク(会社経由)
②出生後休業支援給付金+13%(最初28日・実質80%)ハローワーク(会社経由)
③育児時短就業給付金賃金の10%(復帰後・2歳未満)ハローワーク(会社経由)
④出産育児一時金子1人につき50万円健康保険(原則、直接支払)
⑤高額療養費医療費の自己負担に上限健康保険
⑥社会保険料の免除額面の約15%が消える年金事務所(会社経由)
⚠️住民税免除されない(落とし穴)市区町村
⚠️ふるさと納税控除上限が下がる(落とし穴)市区町村

この8つを押さえれば、育休のお金はほぼ全部です。順に、2〜3文ずつで流していきます。


①育児休業給付金:育休のお金の本体(67%→50%)

育休中の収入の柱です。休業開始から180日までは休業開始時賃金の67%、181日目以降は50%。会社員は雇用保険の「給付金」、公務員は共済組合の「手当金」で、名前も計算のベースも違います。

私の実額は、第1子(公務員)が月約30万円、第2子(会社員)が月約17万円でした。同じ67%でも月13万円違ったわけで、その理由は公務員と会社員の育休手当を比較した記事に書いています。

いつ振り込まれるかも重要です。私の場合、育休開始から初回振込まで約2ヶ月半かかりました。→ 育休手当はいつ・いくら振り込まれた?

💡 自分の金額を知りたい方は、育休手当シミュレーター(無料・登録不要)で概算できます。会社員・公務員の切り替えに対応しています。


②出生後休業支援給付金:最初の28日だけ「実質80%」

2025年4月に新設された上乗せ給付です。条件を満たすと、最長28日分について13%が上乗せされ、67%+13%=実質80%になります。

条件は原則、両親がそれぞれ14日以上の育児休業を取得すること(配偶者が専業主婦・主夫などの場合の例外あり)。私はこの対象で、初回振込のうち約3.3万円がこの上乗せ分でした。

80%の給付に非課税と社会保険料免除が乗るので、手取りベースではほぼ10割。出生直後のいちばん大変な時期に、収入の心配をせずに済む設計になっています。

→ 制度の詳しい要件は育休手当シミュレーターの計算根拠にまとめています。


③育児時短就業給付金:復帰したあとの給付(10%)

同じく2025年4月新設。こちらは休んでいる間ではなく、復帰したあとの給付です。2歳未満の子を養育するために時短勤務をすると、その月の賃金の10%が上乗せされます。

私はまだ使っていません(復帰は2027年春の予定)。ただ、賃金月額25万円・時短後20万円なら月2万円と、判断材料になる規模ではあります。

注意したいのは、時短勤務は「働いている」状態なので社会保険料は免除されないこと。育休中の感覚のまま家計を組むとズレます。→ 育休明けに時短勤務すると月いくら?


④出産育児一時金:子1人につき50万円

出産にかかる費用に対して、健康保険から子1人につき50万円が支給されます(産科医療補償制度に加入する医療機関での出産等の場合)。

多くの医療機関では「直接支払制度」が使えるため、自分で50万円を立て替える必要はありません。出産費用が50万円を下回れば差額を受け取れ、上回ればその分だけ窓口で支払います。

我が家は2回とも直接支払制度を利用したので、退院時に払ったのは差額だけでした。育休のお金の中では、いちばん手続きがラクな部類です。


⑤高額療養費:医療費の自己負担に上限がある

正常分娩は保険適用外ですが、帝王切開や吸引分娩など医療行為が入ると健康保険が適用され、高額療養費の対象になります。所得区分に応じた自己負担限度額を超えた分は、あとから戻ってきます(事前に限度額適用認定証を用意すれば窓口負担を抑えられます)。

我が家は出産で2回この制度に触れました。実額は吸引分娩が約12万円、正常分娩が約27万円。医療行為が入ったほうが安く済むという、直感に反する結果でした。

→ 高額療養費制度を出産で2回体験した話


⑥社会保険料の免除:額面の約15%が消える

育休中は健康保険料・厚生年金保険料が免除されます。本人負担分だけでなく、会社負担分も免除です。額面の約15%なので、月収30万円なら毎月約4.2万円が消える計算になります。

しかも免除期間は保険料を納めた期間として年金記録に反映されるため、将来の年金は減りません。ここは第1子のとき私が誤解していた点です。

判定は月単位で、「月末時点で育休中」または「同じ月内で14日以上」が条件。賞与の保険料は「賞与月の末日を含む連続1ヶ月超」が必要です。→ 育休中の社会保険料免除を2回体験した話


⚠️落とし穴①:給付は非課税だが、住民税は課される

育児休業給付金も出生後休業支援給付金も育児時短就業給付金も、すべて非課税です。所得税はかからず、翌年の住民税の算定にも入りません。

ところが、住民税そのものは免除されません。住民税は前年の所得に対して課税されるため、育休に入った年は「働いていた年の所得」に対する請求が続きます。給与天引きができなくなると、自宅に納付書が届いて自分で払うことになります。

収入が減ったタイミングで、働いていた頃の税金の請求が来る——これが育休家計の最大の落とし穴です。月収30万円程度なら年間でおよそ十数万円。私は第1子のとき、忘れそうだったので一括で払ってしまいました。


⚠️落とし穴②:ふるさと納税の控除上限が下がる

ふるさと納税の控除上限はその年の所得で決まります。育休で年収が下がれば、当然ながら上限も下がる。給付金は非課税なので、上限の計算には一切カウントされません。

つまり、去年と同じ感覚で寄付すると自己負担が2,000円で収まらず、ただの寄付になってしまうリスクがあります。私も毎年やってきましたが、育休の年だけは慎重に構えました。

→ 育休中のふるさと納税は控除上限が下がる


いつ・何を・誰に申請するか(時系列表)

ここがこの記事でいちばん作りたかった表です。妊娠から復帰後まで、時間軸で並べるとやるべきことが見えてきます。

時期やること誰が窓口
妊娠がわかったら母子健康手帳の交付本人市区町村
産前(出産前)産前産後休業取得者申出書会社年金事務所
出産予定日の1ヶ月前ごろ出産育児一時金の直接支払制度の合意書本人医療機関
帝王切開等が見込まれるとき限度額適用認定証の申請本人健康保険
育休開始前育児休業の申出(原則1ヶ月前まで)本人会社
育休開始後すみやかに育児休業等取得者申出書(社会保険料免除)会社年金事務所
育休開始後すみやかに育児休業給付の受給資格確認・初回申請会社ハローワーク
同上出生後休業支援給付金の申請(対象なら)会社ハローワーク
育休開始から約2〜3ヶ月後初回振込(以降、2ヶ月ごと)——
育休中(毎年6月ごろ)住民税の納付書が届く本人市区町村
育休中(年末)ふるさと納税はその年の所得で上限を再計算本人—
復帰したら育児休業等終了時報酬月額変更届(保険料の改定)会社年金事務所
復帰したら養育期間標準報酬月額特例申出書(年金を減らさない)本人→会社年金事務所
時短で復帰したら育児時短就業給付金の受給資格確認・申請会社ハローワーク

太字にした2つの「復帰したら」が特に忘れられがちです。とくに養育期間標準報酬月額特例は、本人の申出がないと適用されず、時短で下がった標準報酬月額のまま将来の年金が計算されてしまいます。

また、申請期限にも癖があります。育児休業給付・育児時短就業給付とも、支給申請は支給対象月の初日から起算して4ヶ月以内。会社が手続きしてくれるとはいえ、2025年新設の制度は担当者も慣れていない可能性があるので、自分でも把握しておく価値はあると思っています。


給付の「つながり」を1本の線で見る

最後に、①②③が時間軸でどうつながるかを整理しておきます。

時期状態受け取るもの社会保険料
出生〜28日休業67% + 13% = 実質80%免除
29日〜180日休業67%免除
181日〜復帰まで休業50%免除
復帰後〜子が2歳まで時短勤務賃金 + 賃金の10%かかる
子が2歳〜3歳時短勤務賃金のみかかる(養育特例で年金は維持)

こうして並べると、2025年の改正で「出生直後」と「復帰後」の両端が埋まったのがよくわかります。従来は「休んでいる間だけ」だった支援が、前後に伸びた形です。

そして、額面ではなく手取りで見ると、どの局面も想像よりは減らない。67%の期間で手取り比約8割、最初の28日はほぼ10割、時短期間も給付と保険料の連動で減り幅は抑えられます。これは2回の育休を通じて、私が実際に給与明細と通帳で確認したことでもあります。


まとめ:地図があれば、あとは個別に潜ればいい

  • 育休のお金は4つの給付(①〜③+出産育児一時金)+高額療養費+社会保険料免除の6本柱
  • 落とし穴は住民税とふるさと納税の控除上限の2つ。どちらも「前年・その年の所得」が絡む
  • 給付はすべて非課税。だから額面の給付率より、手取りベースの減り幅は小さい
  • 2025年4月の改正で、出生直後(+13%)と復帰後(時短10%)の両端が埋まった
  • 忘れられがちなのは復帰後の2つの届出。とくに養育期間標準報酬月額特例は本人の申出が起点

2回の育休を経験して思うのは、制度そのものより「全体像がわからないこと」が不安の正体だったということです。地図さえあれば、あとは自分に関係するところだけ深く潜ればいい。

この記事が、その地図になればうれしいです。各制度の実額や体験談は、下の関連記事にすべて書いています。


よくある質問(FAQ)

Q1. 育休中にもらえるお金は全部で何種類ありますか?

大きく6つです。育児休業給付金、出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金(復帰後)、出産育児一時金、高額療養費、そして社会保険料の免除です。このうち育児時短就業給付金は復帰して時短勤務をする場合の給付なので、休業中に受け取るものは実質5つになります。

Q2. 育休中の給付金に税金はかかりますか?

かかりません。育児休業給付金・出生後休業支援給付金・育児時短就業給付金は、いずれも非課税です。所得税がかからないうえ、翌年の住民税の算定にも入りません。ただし住民税そのものは前年の所得に対して課税されるため、育休中も前年分の請求は続きます。

Q3. いちばん忘れられやすい手続きは何ですか?

復帰後に提出する「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書」だと考えています。時短勤務で標準報酬月額が下がると将来の年金も下がりますが、この特例を申し出れば保険料は下がった額で計算され、年金額は下がる前の高い額で計算されます。自動適用ではなく本人の申出が起点になるため、会社任せにしないことが大切です。

Q4. 育休中も住民税は払う必要がありますか?

必要です。住民税は前年の所得に対して課税されるため、育休に入った年も働いていた年の分の請求が続きます。給与天引き(特別徴収)ができない期間は納付書での普通徴収に切り替わるのが一般的です。育休前に支払い原資を現金で確保しておくことをおすすめします。

Q5. 育休中にふるさと納税をしても大丈夫ですか?

できますが、控除上限が下がる点に注意が必要です。ふるさと納税の控除上限はその年の所得で決まり、非課税である育休の給付金は上限の計算に含まれません。前年と同じ感覚で寄付すると自己負担が2,000円を超えてしまうことがあるため、育休の年は上限を必ず再計算してください。

Q6. 出産費用はどのくらい自己負担になりますか?

出産育児一時金として子1人につき50万円が支給され、多くの医療機関では直接支払制度が使えるため、窓口では差額のみの支払いになります。帝王切開や吸引分娩など医療行為が入る場合は健康保険が適用され、高額療養費の対象にもなります。我が家の実額は吸引分娩が約12万円、正常分娩が約27万円でした。

Q7. 復帰後にもらえる給付はありますか?

あります。2025年4月に新設された育児時短就業給付金です。2歳未満の子を養育するために週の所定労働時間を短縮して働くと、その月の賃金の10%が支給されます。ただし時短勤務は就業しているため社会保険料は免除されず、育休中と同じ感覚で家計を組むとズレる点に注意が必要です。


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※本記事は運営者個人の体験と、2026年9月時点の公表制度をもとに整理したものです。金額は概算で記載しています。制度内容・上限額は改定される可能性があり、支給要件は個別の事情により異なります。正確な内容は、ハローワーク・年金事務所・加入している健康保険・お住まいの市区町村の公式情報でご確認ください。私はFP3級保有者ですが投資助言・税務相談を行う立場ではありません。詳細は免責事項をご確認ください。

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